シェアハウスとは、その仕組みと実態について

ここ数年「シェア〇〇」という言葉が浸透してきました。

シェアルームやシェアオフィス(事務所)

個人が所有するマイカーさえ個人間でシェア(レンタル)する時代となりました。

そして新たにシェアハウスという居住スペースのシェアリングスタイルも急増しています。

今回はその「シェアハウス」について、仕組みや実態をご説明いたします。

シェアハウスとは|仕組みと実態

まず、シェアハウスとは1つの物件に自分の部屋(個室)以外のリビングやお台所、トイレやお風呂とを、同居者と共有して利用する共同生活のことをさします。

主にシェアハウス専用物件は、無線LANとしてWi-Fi(ワイファイ)完備のインターネットし放題や、共有スペースの家電製品が最初から設置されている等、賃貸条件が良いケースが多いです。

また全国のシェアハウス物件の9割が東京都に所在しています。

東京都だけで9割を占めるシェアハウス
出典:国土交通省 住宅局

シェアハウスが急増している理由。

例えば東京都の場合は、老朽化している物件は建築安全条例の基準により建て替えが必要となります。

また空いている土地の転用方法として、このシェアハウスという住居スタイルが、2013年9月にこれまでの建築安全条例の規制緩和と共に国土交通省が主導して広まってきました。

昨今、戸建て住宅等を転用したいわゆるシェアハウスなど、新たな住まい方が増加しています。
国は、こうした建築物について、法令上、寄宿舎として取り扱うことを明確にした上で、既存ストックの活用も可能となるよう、平成26年7月に改正建築基準法施行令が、8月には告示が施行されています。
引用:東京都都市整備局

このような仕組みで対策が条例として盛り込まれているのと同時に、東京都の場合は家賃が高いため若い世代が住みにくいという状況も重なり急増しています。

シェアハウスは入居者も物件オーナーもメリットのある制度です

入居者のメリットと実態

1)入居者にとって家賃負担が少ないというメリットがあります。

単純計算で、1件の物件の家賃を部屋の数で割った賃料が個人の負担分となりますので、自ずと1人あたりの家賃の負担が少なくて済みます。

2)ルームシェア可の物件が少ないことに対する反比例

通常の賃貸物件は、借主が賃貸契約時に申し込んだ入居者以外は、一緒に住むことができません。

その為、当初より共同生活(シェア)をしてでも家賃負担を軽減して生活したいというニーズにも合致しました。

3)東京オリンピックを東京で見たい

2020年に開催される東京オリンピックを、直に感じたいというホーム感覚も増していると思われます。

物件オーナーのメリットと実態

1)家賃収入が安定する

都内の場合は一部屋あたりの賃料が高いこともあり、空室があることはオーナーにとり家賃収入の打撃となります。

例えば1物件の家賃が20万円の場合は、入居者が集まりにくく空室が続くといった心配も、シェアハウスとすることで、20万円の家賃を数人(数部屋分)で割ることになりますから、一人当たりの家賃負担が減り、比較的安定して入居者が集まりやすく家賃収入が安定します。

2)土地や物件の転用方法として、シェアハウスで家賃収入の利回り増加が見込める

全国どこでも、賃貸物件は複数の物件や土地を所有管理している方が多く、その土地や物件の転用方法としてシェアハウスが注目されている実態があります。

3)相続対策・固定資産税の収納方法としても扱われています

代替わりする地主さんや、土地建物管理者の相続対策や、固定資産税の収納方法(対策)として設けられている条例という側面も色濃くあります。

この様なメリットと仕組みで、シェアハウスの利用状況は右肩上がりで年々増加しています。


出典:国土交通省 住宅局

シェアハウスが増える社会背景と実態

シェアハウスというネームイングが、若者に人気の深夜番組シリーズの「テラスハウス」が火付け役となりブームになったという考えもあり、一見すると若者の安易な時代の流れを反映してもいるのかと思われがちです。


引用:テラスハウス

ですが、ドラマはイマドキの青春恋愛模様を描いていますが、この登場人物は誰一人として「終身雇用・生涯雇用」を約束されている人ではないという事実にも着目しますと、シェアハウスという新しい共同生活スタイルは、あながち安易な時代ではなく次世代の新しい居住スタイルを映し出しているのかもしれません。

シェアハウスが急増している実態としては、日本企業の雇用体系がかつての終身雇用制度から実力(能力)主義に変化した、社会背景への危機意識(対策)もあるように思われます。

人生でお金がかかる3代要因が、住居費、食費、医療費(病気)です。

その筆頭となる住居費をシェアすることで、支出を抑えておくことで、けして終身雇用が保障されていない未来への万が一の時の為にと、保険という意味合いでシェアハウス利用者が増えていく余地やニーズは、今も元号が代わり時代が移り変わるのと同時に、今後ますます増加する上京者の居住スタイルのポイントとしてシェアハウスがますます見直されていく傾向です。